「koshika」エントランス・サインと事務所&ギャラリー内観。

2007.6.04

知合いのイラストレーター、フジハラ・ミカさんが新しい事務所を仲間とオープンさせたというので、小林和美さんと一緒に遊びに行ってきた。その昔、ぼくら3人は同じデザイン事務所で机を並べて仕事していた時期がある。ミカさんが独立してからも時折イラストをお願いしたりしながら、ぼくらとミカさんは、気がついたら20年近いお付合いをしてきたことになる。
猫好きのミカさんらしく「コシカ(koshika=ロシア語で雌猫)」と名付けられたその新しい事務所は、彼女と編集者の雨宮千春さん、そしてデザイナーの池戸英明さんの3人をコアメンバーとしたオープンスタイルのオフィスとして誕生した。彼らは古い家具に手を加えて再生したり、ブリキの壁面や板貼りの床を効果的に残しながらリノベーションして、昔の小学校みたいな懐かしさを漂わせる不思議な空間を甲府の中心街に作り上げた。「ここから何か面白いコトが始まったらいいネ」というささやかな願いが、自然体でちょっとノスタルジックな美意識に包まれて、そこからひっそりと発信されていた。
それにしてもミカさんは不思議な人だ。最初に会った時からその印象は少しも変わることがない。物静かで万事において控えめな女性である。しかし芯には寡黙な強靱さを秘めている。それは愛着するものを信じ続けることへの意志の強さなのだと思う。彼女が愛用しているロシアのカメラ「LOMO」で撮られた、ちょっとフォーカスの甘い写真作品を見るとそのことがよくわかる。「かもめ食堂」に行くと、壁寄りの隅の席にちょこんと座っていそうな人なのだ。フジハラ・ミカよりもフジハ・ラミカとかフジ・ハラミカみたいな、国籍不明だけど、どこか見覚えのある懐かしさを内包する美意識が独特なのであって、そこに多くの人が惹きつけられる秘密が隠されているような気がするのである。
面倒くさい話はミカさんには似合わない。時折、大好きな小動物の話なんか聞きながら、最近描いた作品をちらっと見せてもらえたらうれしいな。